第5話(全5話) 切り札は「地域貢献」――中身はまだ白紙のまま
静かな世田谷区に、民泊トラブルの火種?撒く保坂区政 規制が弱い世田谷区に業者は集まる!!
180日への緩和を正当化する“錦の御旗”は、まだ何も定義されていない
素案本文は、住居専用地域での営業日数を現行の120日程度から法定上限の180日まで引き上げるかどうかについて、「地域での共生や地域貢献に積極的に取り組む事業者」を対象とする方向を示している。
もっともらしい理由付けだが、対象となる「適正な運営を行う事業者」の定義は、素案の時点では「家主居住型や運営管理状況等も含め、協議会における委員からの意見を踏まえて検討していく」とされるのみで、地域貢献の具体的な中身も基準も、この文書のどこにも書かれていない。
その「地域貢献」の中身が、素案公表からわずかの後――8月19日の区旅館業・民泊協議会で、区から初めて具体的に提起された。
多摩川の氾濫や区内外の水害・火災時に民泊施設を避難先やみなし仮設住宅として使うこと、区外から来援する医療チームやボランティアの宿泊先とすること、首都圏大災害時の帰宅困難者の一時受け入れ先とすること、そして地域貢献に積極的な事業者を「優良事業者」として認定する仕組み――こうした案が、9月15日から始まる区民意見募集を目前にして、ようやく協議会の俎上に載ったばかりなのである。
見出しにこそ「改正条例反映も」と踊るが、これらはまだ提起・検討段階に過ぎず、条文として確定したものは一つもない。
それが最終的に区議会の議決を要する「条例」に明記されるのか、それとも――これまで見てきた他の新設事項の多くがそうだったように――区の運用や「規則」にとどまるのかも、まだ分からない。
基準も定義も定まらないまま、日数上限だけを緩める方向性が先行しているという構図は、この全5話によってむしろ裏付けられた形だ。
この「地域貢献」提案の中身が実際にどう条例へ落とし込まれるのか――続きは、この協議会の議論を追いながら検証していく。
まとめ
「規制強化」を掲げながら、他区にようやく追いつく項目がある一方で、曜日規制の対象地域の狭さ、違反者への甘さ、条例と規則の使い分け、そして「地域貢献」という緩和の切り札の中身の空白――これら5つの弱点は、いずれも9月15日からの区民意見募集で伝える価値のある論点である。静穏な住宅都市としての世田谷の価値を守れるかどうかは、この先の協議会と条例案づくりにかかっている。

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